蕎麦をたぐれば/正調蕎麦の食し方!?
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作成日時 : 2008/05/15 03:06
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蕎麦を食べるのに特別な決りなどありません。何より気軽さが取り柄のそばですから、決りがないのが決りです。亡くなるまぎわに「蕎麦に汁をたっぷりつけて食べたかった」なんて事のないように、どうぞお好きなように食べて下さい。ただ、私自身には私なりの食べ方が「決まって」おりまして、そこらあたりをご紹介いたします。
先週の陽気の良さに油断をしてすっかり風邪をひいてしまいました。
「頬を撫でる風が心地良い」などと暢気な事をいって、風に吹かれっぱなしで居眠りをしてこのさまです。ダルさと熱で日がな一日、布団の中でぼぉっと天井の板目を眺めていたら、デパートの店時代の事などが頭に浮かんできて思わず一人で苦笑いしてしまいました。
「蕎麦はどうやって食べるのが正しいのですか?」と質される事が多かったのですが、何といっても『お客様は神様です』のデパートですから「どうぞ、お好きなようにお食べ下さい」と調子良く笑顔で答えていました。そんな中、若いカップルが件の問い。いつものように満面笑みで「お好きに…」といったとたん、いきなり汁徳利から猪口に汁をドォーっと一気に注ぎ込み、薬味はぜんぶぶち込んで、箸に蕎麦を巻き付けるように挟めるだけ挟んで猪口の中でグ〜ルグル。(あ〜洗濯機じゃないんだから)と思ってながめているとこちらに向かって「汁が辛いの!薄めてくれます〜」(好きにやり過ぎ!)。眉毛が思いっきりつり上がってしまいましたが、本来は食べ方の説明もおいしく召し上がって頂くための心配り。サービスの欠落と思い反省。笑っているだけではいけませんよ。そこで丁寧にご説明致しましたのがこんな食べ方でございました。
汁徳利から猪口の半分位まで注ぎます。猪口の大きさに関係してくるのですが約40ml。
汁の辛さにもよりますのでこれも一概にいえないのですが、その位の量だと蕎麦を手繰るかっこうもよろしいようで。蕎麦を食べながら途中で汁をたして汁の濃さを調節していきます。
おっと、蕎麦を食べる前に汁の味と濃さの確認を忘れずに。それでは発車オーライ。
蕎麦を取る時の箸は立て気味かげんで。あまり多く取り過ぎると野暮ったくなりますぜ、旦那さん。蕎麦の盛り方がうまいと自然に数本がすくえるのですが、盛り方がうまくないと「こんがらがっちゃう」ことがあります。あと、水切りが悪いと直ぐに蕎麦どうしがくっついてしまいます。そんな時は酒を振りかければ良いともいいますが、もったいないので箸の先に水を付けてほぐしたりしています。それでもすぐに一固まりになってしまう蕎麦もあるんだな。こんな蕎麦を食べている姿って『粋』じゃない? ではなくて『粋』じゃ無い!
猪口を持つ手は、親指、中指、薬指の三本がこれまたよろしいようで。『粋』な感じがするでしょ。不思議なもので蕎麦をうまく食べられている方は、たいがい小指が立ってます。これが他の状況だと少し怖〜い。
蕎麦は一旦箸で摘んだら口に入れるまで離しません。猪口の中の汁に半分弱の蕎麦を漬けて一気に口中へ。鼻から息を抜いて香りを楽しみます。
最後に残った蕎麦は箸を直角に使って摘んで、きれいに残さず食べましょう。蕎麦を作ってくれた職人さんへの気持ちです。これも『粋』ってもんでしょ。
薬味は間の手に。蕎麦を食べる間にちょっと摘んで。私は蕎麦を食べる時は使わずに蕎麦湯を飲む時に少しづつ使います。
蕎麦を食べ終わった時に汁の残り具合でそのお客さんの食べ方のうまさが解るといいます。
蕎麦湯で割って飲んでしまえば確認出来るわけでもないのですが、確かにじょうずな汁の使い方が蕎麦切りの味を最大限に活かす事も事実ですし、汁自体の持つ味わいもまた、最大限に活きてくるのでしょう。
もう一度いいます!蕎麦を食べるのに特別な決りなどはありません。
逆立ちして食べても良いじゃありませんか。気兼ねせずに好きなように食べて下さい。
けれど、くれぐれも鼻からはすすらないように。うまくすすることができれば良いのですが、途中でひっかかると情けない姿になってしまいます。えっ! やったの? 詰まっちゃって苦しいって。
それ『粋』ていられないよ。お後がよろしいようで。
熱がありましたのでどうか品の無さをおゆるし下さいまし。
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