変り蕎麦と雛祭り/桜花切り・桜葉切り・茶切り
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作成日時 : 2008/02/28 17:39
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「年越しに蕎麦を食べる」のは今でもたくさんの方がやっておられることと思います。「引っ越した際に隣近所に蕎麦を配る」引っ越し蕎麦は、さすがに最近はあまり聞くことがありません。まして三月三日に「お雛様にお供えする節句蕎麦」となると、現代ではほとんど行なわれていないし、そもそもがご存じない風習ではないでしょうか。変り蕎麦はもともと、節句蕎麦として供えられた蕎麦なのです。さて、この皿盛りは変り蕎麦を使った品々で、甘酢で蕎麦を和えてあります。新しいかたちの蕎麦寿司です。お雛様も少し驚くかもしれませんがお供えすることにしてみましょう。
変り蕎麦やその素となるさらしな蕎麦は本来、江戸時代に御武家様の御用を担うことで存在していたのです。贅沢な粉であった「さらしな粉」と材料を用いてさまざまな色彩の蕎麦を作り出していた江戸時代の変り蕎麦。当時の庶民にはとても手の届かない食文化の華であったことと思われます。
せっかくの雛蕎麦ですから、桃切りができればよいのでしょうが今回は春が訪れる季節ということで桜の花と葉を使った変り蕎麦を作ります。同じような作り方をする茶切り(茶そば)も一緒に作りましょう。変り蕎麦の作り方のうち粉末を使う「粉物」とよんでいる蕎麦です。「粉物」はそば粉の総量に対して加える粉が3%目安。そして桜葉や大葉などの「葉物」はそば粉1kgに対して葉を35〜40枚が目安です。
桜切りは二十年ほど以前はあまり作ることがなかったのですが、ここ十何年かはよく打たれるようになりました。
桜餅をくるむ塩漬けの桜の葉を刻むのが御常法です。
この桜葉の塩漬けを水にさらして塩抜きをします。さらしすぎると香りが抜けてしまいますので塩の抜け具合を確認しながら慎重に行ないます。若干の塩気が残るくらいが目安になります。
桜葉の葉脈を切り取り除きます。
葉脈を取り除いた葉を巻いて小口から細く切って行きます。
さらに細かく刻みます。
桜の花は八重桜の花の塩漬けがあるのですが、桜は花には香りがありません。ガクの部分に香りがあるのです。ですから花の塩漬けでは香りが出ませんでした。葉を刻んで食紅でごく淡く赤に染めていました。
最近は便利な粉末が出回っています。
特にフリーズドライで作られた花はうっすらピンク色になって自然な桜色を作り出してくれます。粉物の変り蕎麦の基本なのですが、蕎麦粉以外の粉を加えることによって吸収された水分を補うために別に用意しておいた水を加えます。この時の水の量は微妙で、そば生地の固さを見計らって加えます。
この時点では桜色が出ていますが、いざ打ち上げて茹でるとわずかにピンク色が感じられる程度にしか仕上がりません。食紅で薄く染めてもよいでしょう。
刻んだ桜葉を加えます。
抹茶は生地を軽く練った後に加えます。後で入れる水は若干多めに、生地が少し柔らかいかなと感じるくらいのほうがうまく打てます。
ちぎるようによく練ります。
古い器でお供えしました。桜切りは味よりもまさに香りの蕎麦です。部屋中に桜の香りが立ちこめています。やはり香りの蕎麦の茶切りもさすがに桜切りの香りの強さにはかなわないようです。ただし、茶切りの緑色は変り蕎麦の最高峰ならではの気品があります。節句蕎麦には最適です。
三月四日の雛納めの前に一年間の別れを惜しみ三色蕎麦や五色蕎麦を食べる風習もあったそうです。娘の幸せを願う親の心は古の人も変わらぬことなのでしょう。
我が家にあるこの古いお雛様を見ていたら、しだいに大きくなって多感な時期を迎えている我が娘たちが、まだ小さかった頃のことを思い出してなんだか寂しい気持ちになってしまいました。来年、お雛様に会う時には家族もどのように変わっているのだろうなどと雛壇の前で一人、親父はシュンとしているのです。
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