蕎麦屋の天ぷらは天種に衣を多めにつけて、衣をちらして花を咲かせて、そば汁との調和で独特のコックリ感をだすのが特徴。そこが天種そのものの味わいを活かして揚げる天ぷら屋さんの天ぷらとの大きなちがいです。蕎麦屋独特の天ぷらの形は、またひとつの日本の食文化だと思います。そして、なによりもそばと油は相性がよいのです。揚げ玉を利用したたぬきそばも捨て難いおいしさがありますね。今回は、蕎麦屋の海老の天ぷらに的を絞っていくつかのポイントをお教えします。
以前に「小原さんの永山塾奮戦記・天ぷらと人生は花を咲かそうよ」で天ぷらの揚げ方を少し紹介したところ、多くの方々にもっと詳しく教えてくれないかとのご要望をいただきました。この時は、小原さんご自身の天ぷらの取り組みと開業後のオペレーションを主題にしていたために、天ぷらそのものの揚げ方は、くわしくは説明しませんでした。その補足の意味もこめて今回は、蕎麦屋の定番「海老天」が登場します。
また趣味のそば打ちをした後に、お父さんの自慢の料理として、天ぷらに挑戦してみてはいかがなものでしょう! 最近、少し飽きられ始めたお父さんんの打った「もり・せいろ」のそばに新たな彩りが、加わるのではないのでしょうか。いくつかのポイントをあげながら、出来るだけ解りやすく説明して行きます。
◯本日の具材
海老は天然物のホワイト。茄子、ししとう、椎茸、万願寺唐辛子、茗荷、苦瓜が付け合せ。
◯海老の仕込み・下準備
「皮をむく」
「背わた除去」
背に切れ目を入れて「背わたを取る」取り終わったら塩水または、水道水で洗う。
「尾と剣の処理」
剣先を切り、尾を切る(左)、またはしごいて水分を出す(右)。これを忘れると揚げた時に油がはねて火傷をします。
「筋を切る」
裏返して腹側に5カ所、切り目をいれる。頭に近い方から深く切り込み、尾に近づくほど浅く切る。切り込みすぎると海老が切れてしまうので注意。
「身を抜く」
海老を真直ぐに揚げるためにまな板の上で切れ目に沿って身の腰を折るように押しつぶしながら、プチプチ抜いていく。慣れればまな板を使わず指だけで抜けるが、慣れないうちは海老が切れたり身が抜けなかったりするのでまな板の上で確実に行なう。大切なポイント!
「身が抜けているか確認」
しっかり抜けていればこのようににしなる。しならずに弾力があると海老を揚げた時に曲がってしまう。慣れないうちは、確実に確認をしたほうが良い。海老を真直ぐにに形よく揚げるための大切なポイント。
◯黄身水を作る
玉子の黄身だけを取り出す。玉子を割って手で、こうして黄身と白身を分ければ簡単。
水400mlに黄身1個。

黄身水は使う度によく混ぜる。
◯衣を作る
黄身水100mlに薄力粉(天ぷら専用粉でも良い)55g〜60g。
衣の固さは、天ぷらを上手に揚げる重要なポイントですから、まずはしっかり計って感覚を掴む。後は、微妙な固さを感覚で覚えること。天種によって微妙に固さを調節する。粉と黄身水をあわせる時は、余分なグルテンを形成させないために必ず黄身水に粉を加えていきます。
十文字を切るように混ぜる。強くかき混ぜないこと。これもポイント。
これはフランス製の計量カップです。箸は転がらないし、縦型なので冷蔵庫の中でも邪魔にならない。手に馴染んで扱いやすいこともあり、私のお気に入りで天ぷら衣用カップとして使っています。
◯揚げ
「揚げ油」
私は大豆白絞油5に浅炒り胡麻油1で調合しています。
揚げ温度は180℃。箸の先から落とした衣が天鍋の真ん中あたりでスッと浮き上がる位が温度の目安。または、菜箸を油に入れて箸から気泡が出る位。油温の管理も天ぷらの重要ポイント。とにかくこまめにチェックです。
「下衣をうつ」
今回使っているような冷凍物は、どうしても水っぽく衣の着きが悪いので衣をつける前に粉を薄くまぶします。
さぁ、いよいよ揚げていくことにしましょう。海老の腹側を上にして尾を開いて持ちます。衣につけて…

一気に天鍋に入れます。

ほんの一呼吸おいて海老がジュウーと泡立っている時に…
箸で衣をはさむようにすくい、海老に振りかけると衣が散って花が咲きます。衣をしっかりと箸ですくうことがポイントです。
海老の水分が抜けて気泡が少なくなってきたら、
油を切りながら引き上げます。

海老天が揚がりました。
衣の状態(グルテンの形成を押さえる)、温度管理がうまくできていると
揚げ玉が細かく尖ったようになります。ひとつの目安です。
いかがでしたか? きっちりとポイントをおさえれば、うまく揚がるはずです。
なんども挑戦してください。解らないことがありましたらコメントしてください。
機会を改めて蕎麦屋の「かき揚げ」もやりましょうね。
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